2016/08/01
湯河原の山腹に、とても素敵なレストランがある。
竹林あり、五月の風、竹の葉が風に舞って踊っている昼下がりの湯河原。
ごちそうを目の前にして、はなやぐ会話が耳に心地よい、エルルカン・ビスの昼席。
人のめぐり逢い、別れのひとこま。
日々の積み重ねがよぎる。
ゆったりとした晴れの運び。
静かに想う。
流れにのる心地よさ。
見えぬ風のささやき、肌にうける。
身体はとてもとても大切な秘密の花園。
痛さに、辛さに、耐える後に、あり難さが染みわたる。
痛みの先にやすらぎがある。
ここの料理には、「静ひつ」な味わいがある。
舌のささやぎ、味の中に鮮やかな絵となり、色彩の中に自然の素材のささやかさがある。
えび、たい、花あじ、フォアグラ、米沢牛のロース、すじの中に穏やかな風味が漂う。
ある夜の湯河原のことでした。